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変動過程にある不動産

想定どおりにならなかった事とは?

こんにちは!専業主婦から不動産鑑定士になった藤田です。

先日、9年前に書かれたあるファイナルシャルプランナーの本をもう一度読みかえしました。

当時の私はこの本を読んで、内容のほとんどに納得し、共感した覚えがあります。

しかしながら、今の不動産状況をみると、この本書かれていたとおりにはならなかった内容もありました。それは次のとおりです。

 

人気の一等地以外は土地の値段が上がる時代ではない。

 リーマンショック以降は地価の下落が続ていた時期なので、当時はこのよう考えていた人が多かったかもしれません。

しかしながら、地価はこのようにはなりませんでした。一等地以外も土地の値段も上がっているのが現状です。

【札幌市住宅地の地価公示価格】

 2013年(平成25年1月1日)地価公示の札幌市住宅地の平均価格は58,000円

 2021年(令和3年1月1日)地価公示の札幌市住宅地の平均価格は82,500円

  (※今回は札幌市限定での調査です。地方などでは下落している地域もあります。)

現時点では地下鉄駅、JR駅徒歩圏内の好立地のみならず、郊外地まで土地の価格は上昇しています。

 余談ですが、当時の日経平均12、000円(本に記載)、令和4年2月では27,000円台で2倍以上の上昇で、地価よりも大幅に上昇しています。尚、9年前の2013年はアベノミクスによる金融緩和政策で低金利はすでに始まっていたみたいですね。

 

  

『マイホームは購入資金が貯まる60歳に現金で一括購入する』のがいい。

 

 これは分譲マンションの購入を検討している30代を想定しているようです。購入予定と同程度のグレードの賃貸マンション(家賃は住宅ローン返済額と同じ)に住み続け、自己資金と維持費(購入予定の管理費修繕積立金)の積立を年1%で運用し、30年後の60歳に住宅ローンを使わず一括購入でマイホームを取得するという方法です。60歳になれば老夫婦2人なので2LDKで十分なので価格が安くすみ、60歳時に新築なので終の棲家になります。

さて、結果はどうなったでしょうか?

①新築マンション価格の高騰で2LDKは当時の3LDK並みの価格になった。②中古マンション市場では購入時より取引価格が高い物件がでている。

①②から、9年前に不動産を購入していた方が現状ではお得なので、良い案とは言いがたいです。

2013年札幌市新築マンション販売価格 3,208万円

2022年札幌市新築マンション販売価格 3,889万円

※住宅流通研究所

2013年12月札幌市中古マンション成約平米単価 17.4万円

2021年12月札幌市中古マンション成約平米単価 26.64万円

※東日本不動産流通機構

変化の過程にある不動産とのつきあい方

 

変動過程にある不動産とのつきあい方を私なりに考えてみました。

①予想していた未来が変わったら自分の考えも柔軟に変える。

②不動産は自分自身が必要だ!と感じた時こそが買い時。

③他人(専門家)の意見はあくまでも参考。自分の生き方を考えて自分らしい不動産との関わり方を自身で見つける。

【不動産鑑定評価基準】

不動産鑑定評価基準は不動産鑑定士が鑑定評価を行うときの基準となるものです。その中で私のお気に入りの箇所があります。

「不動産の属する地域は固定的なものではなくて、常に拡大縮小、集中拡散、発展衰退等の変化の過程にあるものであるから、不動産の利用形態が最適なものであるかどうか、仮に現在最適なものであっても、時の経過に伴ってこれを持続できるかどうか、これは常に検討されなければならない。したがって、不動産の価格(又は賃料)は通常、過去と将来とにわたる長期的な考慮の下に形成される。今日の価格(又は賃料)は、昨日の展開であり、明日を反映するものであって常に変化の過程にあるものである。」

今日の価格は昨日の展開であり、明日を反映するもの・・・。って、なんだか情緒的で素敵だとおもいませんか?